「すいません・・・日本語で話してもらえますか?」
私が担当した中途採用の面接の時に応募者の方に一度だけ言ったことがあります。
こちらの記事は辛口で書いています。面接官全員が同じことを考えているわけではありませんので、あくまでもこんな面接官もいるんだなぁ・・・ぐらいに読んでいただければ幸いです。
誤解を招かないようにあらかじめお伝えします。
ビジネスに関する横文字が嫌いというわけではありません。
ビジネス用語・専門用語
突然ですが、このような言葉を聞いたことはありますか?
アサイン、アウトソーシング、アジェンダ、イシュー、イニシアチブ、イノベーション、インフルエンサー、イニシャルコスト、エビデンス、オーバーナイト、キャパ、コンセンサス、サマリー、ジョイン、シナジー、スキーム、スペック、ステークホルダー、ドラフト、トップダウン、ニーズ、ニッチ、バッファ、ファクト、フィックス、ブランク、ブレスト、ボトムアップ、ボトルネック、マター、ランニングコストなどなど
学生のみなさんはあまり聞きなれない言葉だと思いますが、安心してください。社会人になってもそこまで使いません。
ただ、もちろんのことこれらの言葉を使う場面もあります。
例えばこんな場面です。
私「新商品の開発が不調でリリース日が延期になりそうです。」
上司「よそから助っ人をジョイン(参加)させるのでリリース日は変更なしで行こう」
ちなみに私の本業の仕事の直属の上司は留学の経験があり、横文字のビジネス用語が好きなので、上司と話すときには一番伝わりやすいと思ってあえて外来語を使います。
しかし、私の部下や後輩はそこまで外来語に精通していないので日本語で話すことが多いです。
相手によって負担なく伝わる言葉を選んでいます。そうすることで相手とのコミュニケーションを円滑に進めることができ、仕事に良い影響が生まれるからです。
コミュニケーションのコツの一つとして、相手が理解できる言葉を選ぶことが重要です。
「PV」という言葉を聞いて何の略だと考えますか?
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何が頭に浮かんだでしょうか?
音楽アーティストのプロモーションビデオ、WEBサイトに関する言葉のページビュー、離れたスタジアムでスポーツや映画館でライブを観るパブリックビューイング、太陽光発電を意味するフォトボルタイクなど色んな意味があり、すべて正解です。
ちなみに私は真っ先にページビューが頭に浮かびました。
もちろん違う言葉を思い浮かべた人もいると思います。YouTubeが盛んになっている現代なので恐らくプロモーションビデオが多いのではないでしょうか。
このように一つの言葉を同じ意味として捉える人もいれば違う人もいます。
なのでコミュニケーションを取るときには相手に伝わるように言葉を選ぶ必要があるのです。
コミュニケーションは一方通行ではありません。
面接はコミュニケーションの場
選考は大きく分けて2つ、書類選考と面接があります。(グループディスカッションはどちらかと言うと面接に含まれます)
面接というと、身だしなみや服装、ノックの仕方、表情、入社への熱意、受け答え、これらを見られていると思いませんか?
細部という意味ではあっていますが、もっと大きく考えると下記となります。
職種や企業の状況によって求める人材像は異なりますが、この場ではどの企業でも求めているであろうズレていないであろう一般的な回答をします。
それはコミュニケーション能力です!
コミュニケーション能力とは何なのか?何をもって高いと言えるのか?
結論を言ってしまえばまたこの人と話したい、会いたいなぁと思える人はコミュニケーション能力が高いと言えます。
先ほど出た細部のことを例に挙げて見てみましょう。
コミュニケーション能力が高い | コミュニケーション能力が低い | |
身だしなみや服装 | 不快感を与えない | 不潔で不快感を感じてしまう |
ノックの仕方 | 適切な回数で相手に伝わるボリューム | ノックしないで突然入室する |
表情 | 適度に相槌や笑顔や真剣な表情を使い分ける | 不愛想、過度なリアクション |
入社への熱意 | 入社の意欲が伝わる | どこか投げやりな感じ |
受け答え | 質問を理解して答えておりまとまっている | 質問への回答になっていなかったり、延々と話し続ける |
※あくまでも一例です。
よく就活は恋愛に例えられますが、彼氏彼女がいる人は付き合っている理由または好きな芸能人も顔だけで選ぶことはないですよね?
顔がドストライクでも性格が合わなかったり居心地が悪かったら一緒にいませんよね?
皆さんは日常生活で自然とコミュニケーション能力の高さを測っています。
話上手な学生だけを採用するわけではありません。
面接官も同様のことを行っているわけです。
すいません・・・日本語で話してもらえますか?
とある面接でなぜ私がこのように言ったのか?
数年前に面接に来たのは営業職の経験がある女性でした。
営業を経験されているので礼儀をや表情などはとても良い印象を受けました。
志望理由や将来の夢などもとても素晴らしい立派な回答をいただきました。
しかし、事態は急変しました。
私「これまでどんな仕事をされていましたか?」
私が質問をすると専門用語の横文字がどんどん溢れ出てきました。
確かに応募者の方は特殊な商品を取り扱っていました。
食品工場で使用する機械です。一般の人は見ることがほとんどないようなものだそうです。私も見たことも聞いたこともありません。
応募者「●●という機会を全国の食品工場に販売していました。」
機械の名称を言われただけではわかりません。なので機械の名称の直後に補足情報を聞けるかと思いましたが全くありませんでした。
機械そのものを知らないので細かい部品の話をされてもサッパリわかりませんでした。
仕事内容をちゃんと理解をしたかったので、「すいません・・・日本語で話してもらえますか?」とお伝えしました。
もう一つの理由
私が知識が薄いから理解できなかっただけでしょ?と言われればそうではありますが、指摘した理由はもう一つあります。
パソコンやスマートフォンのように誰もが知っている名称であれば専門用語で話されていても問題ありません。
あまり普及されていない、知られていないものやお客様が初めて関わるであろうものについては専門用語ではなく、誰でもわかる言葉で話してほしいのです。
私の本業のビジネスは「バーチャルオフィス」という商材を取り扱っていますが、そこまで普及されているサービスではありません。友人に聞いてもほとんどの人が知らないですし、起業しようとする人でないと中々触れ合う機会がありません。
ですので新規のお客様に専門用語で話すと伝わらないことがありますし、時にはこちらが意図していない受け取られ方をすることがあります。そのため相手がどれくらい理解しているかを把握してから専門用語で話したり、身近なものに例えながら理解度合いを合わせることが必要です。
面接官は面接を受けられる方がお客様とどのように接する人なのか?ということも選考の時に見ています。
さいごに
ビジネス用語や略称は曖昧な表現もあるので伝わり方が一定ではありません。
学生の皆さんがビジネス用語を使うことがあまりないとは思いますが、面接の時に使う場合には充分に気を付けてください。
自分はAという意味のつもりで使った言葉でも相手にはBと受け取られるかもしれません。
面接官が、そのテーマについてあまり知識や読解力を持ち合わせていない場合に、どこまでレベルを合わせられるかが話し手の力量です。
専門知識をひけらかして自己満足に陥らないように注意しましょう。
齟齬が生まれないように具体的で丁寧な言葉を選んであげてください。
何度も言いますが、相手に伝わるように言葉を選ぶことを忘れないでください。
